研究室紹介

電力・エネルギー工学研究室

ICTによるエネルギーマネジメントに関する研究(塩野/辻)

私たちは日常生活において、電力・熱などのさまざまなエネルギーを使っています。その供給側と需要側とのエネルギーのやりとりを、ICT(情報通信技術)を使って効率良くスマートに運用することを「エネルギーマネジメント」といいます。その一環として、海洋エネルギーから電気をつくる環境負荷に優しい再生可能エネルギー発電を研究しています。

再生可能エネルギーを利用するためには、その対象となるエネルギー源の特徴を上手に捉える必要があります。例えば、潮流エネルギーは1 日に約4 回のピークが得られますが、そのピークは月齢の影響を受けるので1 日50分ずつ遅れる特徴があります。ところが、私たちの生活時間は太陽暦で支配されるため、電力の需要と供給にずれが生じます。ICT によってそのずれを無くすように潮流発電の発電電力を最適に制御し、発電設備のコスト削減や需要電力のピークを抑えることが可能になります。

「エネルギーマネジメント」は、これからの日本のエネルギーインフラ構築と低炭素社会の実現に貢献します。

風力発電用タービンの特性実験

風力発電用タービンの特性実験

灯浮標用潮流発電装置の実証実験(兵庫県明石海峡において)

灯浮標用潮流発電装置の実証実験(兵庫県明石海峡において)

南極・昭和基地での再生可能エネルギーの最適導入(西川)

昭和基地は南極にある日本の唯一の有人基地です。昭和基地では常に数十名の隊員により、気象・天体観測や地質調査が行われており、日常生活や観測・調査活動に必要なエネルギーは日本から観測船により輸送される化石燃料により賄われています。しかしながら燃料の輸送可能な量は限界であり、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの活用が重要になっています。

現在、太陽光発電や風力発電は世界中で急速に普及拡大していますが、昭和基地周辺の気象条件は大きく異なるため、発電性能が大きく異なります。また、ブリザードなど過酷な状況下での使用となるため、現状の設備では対応困難です。

なお、年平均気温が約零下15℃、最低気温が零下40℃近くなることから、電気エネルギーだけでなく、大量の熱エネルギーも必要となります。さらに、「白夜」と「極夜」が存在し、太陽エネルギーは大きく変動するため、エネルギー貯蔵技術も重要です。

これらの課題を解決するため、国立極地研究所に協力し、再生可能エネルギーの最適導入方法について研究しています。

(写真提供:国立極地研究所)

太陽電池評価試験設備(夏)

太陽電池評価試験設備(夏)

太陽電池評価試験設備(冬)

太陽電池評価試験設備(冬)

太陽熱集熱器を備えた建物

太陽熱集熱器を備えた建物

固体酸化物形燃料電池(SOFC)の性能低下要因分離評価手法を確立(吉川)

SOFC実用化のためには、劣化要因を部位毎に定量的し、長期耐久性を向上させることが不可欠です。SOFCは構成部材が固体(セラミックス材や金属材で構成される)であることから燃料電池の一般的な構造である平板形だけではなく、円筒形等のメーカー独自の形状が用いられています。このため、SOFCに共通する劣化要因や個々特有の劣化要因を抽出することは極めて困難であり、仕様や形状が異なっても評価可能な性能低下要因分離評価手法の確立が望まれていました。

そこで、国内主要メーカー9社のSOFCに対して発電初期の種々基本試験データの取得や、長期的な試験データを用いた評価法の検証を行うと共に、種々の性能・劣化評価手法の提案を進め、最終的に仕様や形状の異なるSOFCにおいても電圧低下要因である空気極過電圧、燃料極過電圧、電解質等のオーム損をそれぞれ分離評価する技術を確立しました。

本手法を適用することにより、メーカー毎に異なる劣化要因を定量的に抽出し、各メーカーへのフィードバックを行うことによって実用化への課題解決に貢献してきました。

SOFCセル・スタック構造例

SOFCセル・スタック構造例

再生可能エネルギーを利用した発電装置の開発(直井)

再生可能エネルギーを利用した発電装置は、燃料を必要とせず、二酸化炭素を排出しないという利点があります。われわれの研究グループでは、再生可能エネルギーの中でも、風力、潮流、波力に着目して、タービンを回転させることにより機械エネルギーから電気エネルギーに変換する際の発電出力の増加を目的とした、発電機の制御方法について研究を行っています。風力と潮流・波力では作動流体が空気や海水であり流体の密度は異なりますが、タービンの性能評価を含めた研究を行うことにより、従来よりも高い発電電力量を得られる装置の開発を目指しています。これらの研究では、理工学部の研究施設である工作技術センターや空気力学研究センターとの協力により、シミュレーションだけではなく風洞施設を利用した実験装置による検討を併せて行っています。